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2014年12月24日 主の降誕メッセージ

クリスマス、闇に光がもたらされたことを共に祝う

   ~われらもアンパンマンになりたい~

シメオン 後藤正史神父

年末、わけてもクリスマスシーズンは、個人の、家庭の、教会の、社会の、世界のそれぞれの場での一年の歩み、楽しいこと、つらいこと、実りあったことなどを振り返りみるにふさわしい時期ではないでしょうか。日常あくせくして気づきにくかったあの方、いと大いなる方の計らいがどこにあったか(人や出来事を通して)を思いめぐらします。

だれがこんな日本にしたのか、だれのせいでこんな自分になったのかとやり場のない不満や不快感や不信感を抱いている人は少なくありません。また、自分のことで頭がいっぱい、自分ことで精いっぱいの人が満ちあふれ、ますます余裕を失っていく社会の現実があります。そしてそのほころびはまず弱いところ、子どもたちや老人たちに影響を与えます。彼らが幸せに生きられる社会こそ豊かな社会と言えるでしょう。

むかし、ある保育園で、初めてアンパンマンの絵本を見たときの衝撃は忘れられません。と同時に、作者のやなせたかしさん本人も言っていましたが、どうしてアンパンマンが子どもたちに絶大な人気があるのか不思議に思いました。作者は言います。

「僕の『アンパンマン』は、友愛というより、むしろ自己犠牲の話です。我が身を捨てても人を助ける。友人ではなくても。今そこに死にそうな人がいると助けずにはいられない。それはスーパーマンでもヒーローでもない。一つの正義、善意なんです」と(朝日新聞09年11月22日)。

 アンパンマンは、クリスマスのメッセージと重なり合います。闇に光をもたらし、困難の中にあえいでいる人々に立ち上がり生きる力をもたらし、抑圧されている人々に徹底して寄り添う方イエスが、私たちのもとに父なる神から送られてきたことを喜び祝う日、それがクリスマス。アンパンマンはイエスの仲間に違いありません。今、この社会はわたしたちが本気でアンパンマンのようになることを求めているのではないでしょうか。「わたしたちは愛することによって、愛され、与えることによって、与えられる」からです。

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