大人の教会学校(於:光カトリック教会 肥塚神父)資料 2021年11月 

  ミサを生きる(9)

 【栄光の賛歌】

■ミサの目的の一つは、神に栄光を帰すことである。「栄光の賛歌」は、きわめて古い尊ぶべき賛歌であり、聖霊のうちに集う教会は、この歌をもって父なる神と小羊を讃えて祈る。

 この賛歌を歌うか、または唱えるのは、待降節、四旬節以外の主日、および祭日と祝日、さらに特に盛大な祭儀のときである。

■古代教会の典礼に使われた歌は、三つの種類に分けることができる。旧約聖書の詩編(Psalmus)、旧・新約聖書に見られる詩編以外の歌(Canticum)(たとえばフィリピ書の「キリスト賛歌」やルカ福音書の「マリアの賛歌」など、そして賛歌(Hymnus)と呼ばれるもので聖書以外の歌、である。

 「栄光の賛歌」は、「賛美の賛歌」(Te Deum)とともに、古代教会の時代に作られた代表的な賛歌の一つである。教会は聖書に由来しない歌詞の使用に非常に慎重であったが、その中でキリスト教の信仰を本質的に表すものは積極的に典礼に中に取り入れたのである。

 「栄光の賛歌」は、東方教会の典礼で使われ始めた。教会の祈りの「朝の祈り」で賛歌として歌われていた。西方教会には四世紀頃に導入され、教皇が司式するクリスマスのミサに限られていたが、教皇シンマクス(498~514)の在位中には、司教が司式する主日ミサや殉教者の祝日ミサにまで広く使われるようになった。司祭が司式する主日や祭日ミサでも歌われるようになったのは十一世紀のことである。

■「栄光の賛歌」は四つの部分からできている。

 1 天使の歌  ルカ福音書の誕生物語がそのまま引用されている。ルカ福音書は。「突然この天使に天の大群が加わり、神を賛美して言った」(2・13)とある。「栄光の賛歌」が「天使の賛歌」(Hymnus Angelicus)とも呼ばれる理由はそこにある。

 2 父である神への賛美  この部分は、多様な動詞をもって神への賛美を表すのが特徴である。人間は神を褒め(laudamus)、讃え(benedicimus)、拝み(adoramus)、神に栄光を帰す(glorificamus)。

 3 キリストへの賛歌  ここでは救い主であるキリストに対する信仰が表される。キリストは主であり、神の小羊であり、神の御子であり、世の罪を除く方である。

 4 栄唱  栄唱という形は、もともとはユダヤ教の伝統に由来するが(賛美や感謝の祈りの結びとして)、キリスト者たちは自分たちの信仰を表す独自の栄唱を発展させた。「父と子と聖霊の三位の神に栄光を帰す」というのがそれである。

 「父である神が、御子キリストと聖霊を通してご自分を顕した」という信仰告白は、単なるドグマではなく、むしろ私たちの信仰生活の中で体験される、生き生きとした恵みの現実である。それゆえ、讃えざるをえないのである。

 (参照:「典礼と秘跡のハンドブックⅠ」 具正謨 教友社 19~20頁 )